日本の中古マンションは実は3つの市場:47都道府県の価格と人口移動(2025年)

2026年9月29日|日本不動産|東京不動産研究所研究員 温 芳瑜
日本の中古マンションは実は3つの市場:47都道府県の価格と人口移動(2025年)

著者:東京不動産研究所研究員 温 芳瑜

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重要ポイント

2025年、東京都の中古マンションは1㎡あたり108万円で、東京以外の中央値の2.6倍です。大阪・福岡は5年上昇率がさらに高い一方、成約件数ははるかに少なくなっています。本記事では、47都道府県の価格、成約件数、人口移動をもとに、日本の中古マンションを3つの市場に分けて見るべき理由を説明します。

本記事は、東京不動産研究所『東京不動産データレポート』2026年第3四半期(創刊号)の全国編です。レポート全文は、bukken.ioの日本不動産市場レポートページでお読みいただけます。

「日本の住宅は安い」という言葉が正しいかどうかは、どの市場の話をしているかによります。2025年の全国の中古マンション成約は54,353件、東京都の成約㎡単価は108万円で、東京以外の道府県の中央値41万円の2.6倍です。価格のほかにも、成約件数、5年上昇率、人口の流れは地域によって大きく異なります。これらをあわせて見てはじめて、自分が比べているのが同じ種類の市場かどうかがわかります。

東京は108万円、東京以外の中央値は41万円

㎡単価の上位5は、順に東京都 108、神奈川県 57、大阪府 56、京都府 54、沖縄県 45(万円/㎡)です。

5年変化は、東京都 +27.1%、東京以外の中央値 +32.3% です。サンプル500件以上の都道府県で見ると、5年上昇率の上位3は大阪府 +50.5%、福岡県 +43.6%、京都府 +34.5% です。サンプル100件未満の県の前年比は参考値です。

47都道府県 中古マンション㎡単価 上位20(2025年)

図1 47都道府県 中古マンション㎡単価 上位20(2025年、前年比を併記、古銅色の線は東京以外中央値)。出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」より東京不動産研究所作成。

中古マンションは、実は3つの市場

全国の中古マンションは、次の3つの市場に分けられます。

  1. 東京圏
  2. 大阪・名古屋・福岡などの大都市
  3. その他の県

5年上昇率は大阪 +50.5%、福岡 +43.6% と、いずれも東京の +27.1% を上回りますが、成約の厚みは東京の47%と16%にとどまります。つまり、リターンは高いものの、出口にも時間がかかります。

判断の順序は、まずその県の年間成約件数、次に価格です。 年間成約が500件未満の県は、価格は安くても流動性が不足しているため、そのまま機会とはみなせず、前年比も市場シグナルにはなりません。「日本の住宅は安い」と聞いたときは、第3の市場の価格に、第1の市場の流動性を組み合わせて考えないよう注意が必要です。

表1 47都道府県 中古マンション㎡単価・前年比・5年変化(2025年)

都道府県件数㎡単価(万円)前年比 %5年 %
東京都16,325108.08.027.1
神奈川県7,45456.93.528.1
大阪府7,66755.612.450.5
京都府1,21453.87.634.5
沖縄県14545.5-3.413.6
福岡県2,59842.15.343.6
埼玉県3,03641.57.732.2
兵庫県3,37040.04.330.0
千葉県2,71635.32.927.3
滋賀県29334.00.57.4
長野県9633.8-3.718.5
広島県42832.94.79.7
愛知県2,47532.5-2.519.7
宮城県69931.75.616.7
長崎県14731.1-0.721.0
山梨県6329.456.269.0
岡山県19629.31.915.3
鹿児島県15329.1-3.01.2
熊本県15527.722.629.5
富山県8626.8-10.845.0
和歌山県7326.733.358.7
奈良県36226.715.533.3
三重県14725.7-1.321.4
茨城県21225.2-13.28.5
鳥取県4625.26.425.8
岐阜県12425.010.325.0
石川県13125.01.417.2
栃木県13724.68.451.7
北海道1,62524.40.022.2
福井県2924.39.640.1
宮崎県7424.010.47.5
新潟県26923.818.827.2
島根県2623.3-13.30.5
静岡県51323.12.115.4
高知県3223.0-14.520.9
佐賀県6022.512.55.0
山形県4922.55.9-2.4
群馬県13921.5-5.416.0
愛媛県16821.46.9-10.9
大分県17120.7-9.610.7
山口県14220.06.76.7
福島県10420.00.00.0
岩手県10218.1-30.6-23.6
秋田県5217.66.1-17.7
徳島県7617.3-6.7-8.4
香川県11817.2-8.29.5
青森県5615.4-7.6-3.8

出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」より東京不動産研究所作成。サンプル100件未満の県の前年比は参考値です。

人口移動:日本人が転入超過となったのは7都道府県だけ

2025年に日本人が転入超過となった都道府県は7つだけで、残る40は転出超過です。

転入超過の上位3は、東京都 +65,219人(日本人 +65,597、外国人 -378)、神奈川県 +28,052人(日本人 +18,524、外国人 +9,528)、埼玉県 +22,427人(日本人 +12,529、外国人 +9,898)です。転出超過が最も大きい3県は、広島県 -9,921、福島県 -7,197、静岡県 -6,711 です。東京都の +65,219人のうち、20〜39歳は +76,617人で、総数を上回っています。つまり、それ以外の年齢層は合計で転出超過です。

外国人の国内移動は、これとは別の構図を示しています。転入超過が大きいのは埼玉県 +9,898、神奈川県 +9,528、兵庫県 +1,515、転出超過が大きいのは千葉県 -8,252、愛知県 -3,987、福岡県 -3,740 です。このデータは市区町村間の住民登録の移動で、国外からの転入は含みません。そのため外国人の数値は、日本国内での再配置を示すもので、総数の増減ではありません。

転入超過 上位10・下位10の都道府県(2025年)

図2 転入超過 上位10・下位10の都道府県、日本人と外国人(2025年)。出所:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」(e-Stat)より東京不動産研究所作成。

日本人が転入超過となった7都道府県は、下の表のとおりです。総数で転入超過となった都道府県も7つですが、顔ぶれは少し異なります。滋賀県は外国人の流入によってプラス(+353)に転じ、愛知県は外国人の流出によってマイナス(-2,181)になっています。

表2 日本人が転入超過の7都道府県(2025年、人)

都道府県転入超過(総数)日本人外国人20〜39歳
東京都65,21965,597-37876,617
神奈川県28,05218,5249,52824,433
大阪府15,66717,489-1,82212,596
千葉県7,83616,088-8,2522,793
埼玉県22,42712,5299,89814,368
福岡県5,1368,876-3,740-1,288
愛知県-2,1811,806-3,9872,075

出所:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」(e-Stat)より東京不動産研究所作成。

賃貸物件は、まず人が流れ込む先を見る

賃貸物件に投資するなら、立地は日本人が転入超過となっているこの7都道府県と、その通勤圏に絞ることをおすすめします。残る40県の賃貸需要は、外国人の流入に支えられている場合を除き、縮小しています。

比較的新しいのは外国人の国内移動で、東京・千葉から、神奈川・埼玉など家賃の低い隣県へ移っています。神奈川・埼玉の小型賃貸住戸は、この移動の直接的な受益者です。こうした入居者は家賃に敏感な一方、通勤時間にはそれほど敏感ではありません。賃料は周辺相場より5%以上高く設定しないことをおすすめします。そのほうが入居者が決まりやすくなります。千葉と福岡で外国人が転出超過となっていることは、外国人入居者が中心の物件では、空室期間を長めに見積もる必要があることを意味します。

データについて

  • 価格:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約データ(2025年、中古マンション)。㎡単価の単位は万円です。サンプル100件未満の県の前年比は参考値です。
  • 人口:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」2025年。市区町村間の住民登録の移動で、国外からの転入は含みません。
  • 本記事は公開データの整理と統計分析であり、投資助言ではありません。

参考資料

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まとめ

  • 2025年の全国中古マンション成約は54,353件、東京都は1㎡あたり108万円で、東京以外の中央値41万円の2.6倍
  • サンプル500件以上の都道府県では、5年上昇率の上位3が大阪府 +50.5%、福岡県 +43.6%、京都府 +34.5% で、東京都は +27.1%
  • 大阪・福岡の成約件数は東京の47%と16%にとどまり、リターンは高いが出口に時間がかかる
  • 年間成約が500件未満の県は、価格は安いが流動性が不足しており、前年比は市場シグナルにならない
  • 日本人が転入超過の都道府県は7つだけで、賃貸物件の地理的範囲はまずここから考える

よくある質問

日本で中古マンションが最も高い都道府県はどこですか?+

2025年は東京都が1㎡あたり108万円で最も高く、次いで神奈川県57万円、大阪府56万円、京都府54万円、沖縄県45万円です(国土交通省の成約データより東京不動産研究所作成)。

大阪や福岡の価格上昇率は、東京より高いのですか?+

5年変化で見ると、東京都は +27.1% です。サンプル500件以上の都道府県では、大阪府 +50.5%、福岡県 +43.6%、京都府 +34.5% です。ただし大阪・福岡の成約件数は東京の47%と16%にとどまるため、売却にかかる時間もあわせて考える必要があります。

地方の物件は安いですが、投資の機会になりますか?+

年間成約が500件未満の県は、価格は安くても流動性が不足しているため、そのまま機会とみなすことはできず、前年比も市場シグナルにはなりません。まずその県の年間成約件数を確認し、それから価格を見ることをおすすめします。

2025年に日本人が転入超過となった都道府県はどこですか?+

7つだけです。日本人の転入超過が多い順に、東京都、神奈川県、大阪府、千葉県、埼玉県、福岡県、愛知県です。東京都は総数で65,219人の転入超過で、そのうち20〜39歳は76,617人です。

外国人は日本国内でどこへ移っていますか?+

国内の住民登録の移動で見ると、外国人の転入超過が大きいのは埼玉県 +9,898、神奈川県 +9,528、兵庫県 +1,515、転出超過が大きいのは千葉県 -8,252、愛知県 -3,987、福岡県 -3,740 です。データには国外からの転入が含まれず、日本国内での再配置を反映しています。

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