東京23区の住宅価格2026:20年で2倍、2024年第3四半期から都心と周辺が分岐

2026年9月29日|日本不動産|東京不動産研究所研究員 温 芳瑜
東京23区の住宅価格2026:20年で2倍、2024年第3四半期から都心と周辺が分岐

著者:東京不動産研究所研究員 温 芳瑜

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重要ポイント

東京23区の中古マンション価格は20年で2倍になり、上昇は2013年以降に集中しています。2024年第3四半期からは、都心と周辺が別々の線を描くようになりました。本記事では、長期の指数、分岐後の2つの市場、そして2026年第1四半期の各区の単価と前年比を整理します。

本記事は、東京不動産研究所『東京不動産データレポート』2026年第3四半期(創刊号)の住宅価格編です。主なデータは国土交通省の成約データで、各区の最新の数字は2026年第1四半期のものです。レポート全文は、bukken.ioの日本不動産市場レポートページでご覧いただけます。

東京23区の中古マンション成約単価は、20年で2倍になりました。ただし、この20年は一本調子の上昇ではありません。最初の7年は足踏みが続き、上昇が始まったのは2013年以降です。さらに2024年第3四半期以降は、都心と周辺が別々の線を描くようになりました。

20年で2倍、3つの局面に分かれる

23区全体の成約㎡単価指数は210(2005Q3=100、利用可能な直近四半期は2025Q4)で、上昇幅の半分は2013〜2019年に生じたものです。3つの局面は次のとおりです。

  1. 2005Q3〜2012Q3:指数は116から104に戻り、足踏みが続きました。
  2. 2013〜2019Q3:161まで上昇しました。
  3. その後2025Q4まで:210に達しました。

同じ期間で、都心5区は224、周辺5区は232です。都心5区は千代田・中央・港・渋谷・新宿、周辺5区は足立・葛飾・江戸川・板橋・練馬を指します。直近の四半期はデータがまだ出そろっていないため、含めていません。

23区・都心5区・周辺5区 成約㎡単価指数

図1 23区・都心5区・周辺5区 成約㎡単価指数(2005Q3=100)。破線はデータが出そろっていない暫定値。出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」より東京不動産研究所作成。

2005〜2012年は東京の人口が増えていたのに、価格は動きませんでした。2013年以降は、日本銀行の金融緩和と歩調を合わせて価格が上昇しています。東京の中古価格を動かしているのは人口ではなく資金コストであり、金利が最も重要な単一変数です。

実務上、追うべきなのは日銀の政策金利と10年国債利回りで、人口を見るだけでは足りません。金利が転換すると、都心の高額・高レバレッジの物件が先に反応します。2013年より前に買った人には10年分の値上がりという安全余裕がありますが、2020年以降に買った人にはありません。後者は「5年以内に売却に頼らない」ことを前提に、保有計画を組む必要があります。

2024年第3四半期から、都心と周辺が分岐

2024Q3以降は2本の線が分かれ、都心5区は28ポイント、周辺5区は7ポイント上昇しました。REINS成約価格指数(2021Q1=100)は、最新の2026Q1で全体137、都心160、周辺132となり、都心と周辺の㎡単価の差は約3.5倍です。

REINS成約価格指数

図2 REINS成約価格指数(2021Q1=100)。出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」より東京不動産研究所作成。

2024Q3までは都心と周辺が同じ動きをしていましたが、それ以降は2つの市場になりました。都心5区の価格は資金の流れに連動し、リターンはキャピタルゲインと為替(海外投資家の場合)です。周辺5区は住宅ローンの返済負担力に縛られ、リターンはキャッシュフローです。 同じ利回りの基準で両方を見ると、周辺はいつまでも割安に見え、都心ではいつまでも買えません。どちらの結論も正しくありません。

両者では戦略も異なります。

  • 都心:台湾などの海外投資家が2024Q3以降に都心を追いかけて買うなら、「買うのは外貨建て資産で、利回りは周辺より低くなる」ことを前提にする必要があり、もう利回りは追求できません。出口は海外の買い手と円相場に左右されます。
  • 周辺:最近は家賃の上昇幅が大きく、家賃が住宅ローン金利に追随できるなら保有を続けられます。出口を支えるのは地元の実需です。

23区スコアカード(2026年第1四半期)

最新の2026Q1の成約㎡単価トップ3は、港区200、千代田区197、中央区186(万円/㎡)です。前年比が最も高いのは荒川区(+26.0%)、文京区(+25.6%)、千代田区(+23.2%)で、マイナスとなったのは大田区(-1.5%)です。

23区 成約㎡単価中央値と前年比(2026Q1)

図3 23区 成約㎡単価中央値と前年比(2026Q1)。出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」より東京不動産研究所作成。

表1 23区 成約㎡単価・前年同期比・2022Q1からの累計

区2026Q1 ㎡単価(万円)前年同期比 %2022Q1比 %
港区200.013.352.9
千代田区197.123.250.5
中央区185.79.860.6
渋谷区162.97.643.8
文京区142.325.629.7
目黒区133.33.020.0
品川区133.39.433.3
新宿区130.08.322.8
豊島区122.516.245.8
台東区116.415.529.3
江東区112.212.232.0
世田谷区110.016.426.9
中野区104.022.228.1
墨田区101.819.836.6
北区100.016.738.1
荒川区95.026.047.5
杉並区93.36.916.6
大田区78.8-1.55.1
板橋区76.917.431.5
練馬区72.03.912.3
江戸川区70.014.431.3
葛飾区60.78.023.1
足立区57.715.423.6

出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」より東京不動産研究所作成。

前年比が最も高いのは、荒川・文京・中野といった都心外縁の既成市街地です。都心が上がりきって需要が外側へ一回り広がったため、今これらの区に入るのは、もはや相対的に割安とはいえません。買っているのは都心需要の波及効果です。さらに一回り外側の練馬・杉並・大田は前年比が一桁台、あるいはマイナスで、価格差が映しているのは売れるまでの時間の差であり、流動性の差でもあります。

実務上は、外側の区は安く買えても売るのに時間がかかるため、保有期間は5年以上で計画し、入ってくるキャッシュフローを綿密に試算する必要があります。短期の売り買いには向きません。前年比が20%を超える区では、1年分ではなく直近四半期の成約価格で評価しないと、指値が低すぎて買えなくなります。

おわりに

同じ区の中でも、築年数、駅からの距離、浸水深によって価格に差がつきます。詳しくは本シリーズの「同じ区なのに価格差が大きいのはなぜ?」で解説しています。新築供給、2040年の人口、若い世代の転入先については、「東京の不動産市場、これから何を見るか」をご覧ください。

データについて

  • 長期指数:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引価格情報。23区全体の成約㎡単価指数は2005Q3を100とし、利用可能な直近四半期は2025Q4です。
  • REINS成約価格指数:2021Q1を100とし、最新は2026Q1です。
  • 各区の㎡単価は、2026Q1の成約の中央値です。取引価格情報は1〜2四半期遅れで反映されます。直近四半期の件数が前四半期の半分に満たない場合は、暫定値として扱います。
  • 本記事は公開データの整理と統計分析であり、投資助言ではありません。

参考資料

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まとめ

  • 23区全体の成約㎡単価指数は210(2005Q3=100、利用可能な直近四半期は2025Q4)、上昇幅の半分は2013〜2019年に生じた
  • 2005〜2012年は人口が増えても価格は動かず、2013年以降は日本銀行の金融緩和と歩調を合わせて上昇しており、金利が最も重要な単一変数
  • REINS成約価格指数の2026Q1は全体137、都心160、周辺132(2021Q1=100)
  • 2026Q1の㎡単価トップ3は港区200万円、千代田区197万円、中央区186万円
  • 前年比が最も高いのは荒川区+26.0%、文京区+25.6%、千代田区+23.2%で、大田区は-1.5%

よくある質問

東京23区で住宅価格が最も高いのはどの区ですか?+

2026年第1四半期の中古マンション成約㎡単価の中央値で見ると、港区が200万円で最も高く、千代田区197万円、中央区186万円と続きます。

東京で住宅価格が最も上がったのはどの区ですか?+

2026年第1四半期の前年比が最も高いのは荒川区+26.0%、文京区+25.6%、千代田区+23.2%です。大田区は-1.5%で、唯一マイナスとなった区です。

東京の住宅価格は20年でどれくらい上がりましたか?+

23区全体の成約㎡単価指数は、2005年第3四半期を100とすると2025年第4四半期は210で、20年でほぼ2倍になりました。2005Q3〜2012Q3は足踏みが続き、2013〜2019Q3に161まで上昇し、その後2025Q4に210となりました。

東京の都心と周辺では、住宅価格にどれくらいの差がありますか?+

REINS成約価格指数(2021Q1=100)は、2026Q1で都心160、周辺132です(都心5区:千代田・中央・港・渋谷・新宿、周辺5区:足立・葛飾・江戸川・板橋・練馬)。2024年第3四半期以降、都心は28ポイント、周辺は7ポイント上昇し、両者の㎡単価の差は約3.5倍です。

東京の住宅価格に最も影響する要因は何ですか?+

2005〜2012年は東京の人口が増えていたのに、価格は動きませんでした。2013年以降、価格は日本銀行の金融緩和と歩調を合わせて上昇しています。そのためレポートは資金コストを主な原動力とみなし、金利を最も重要な単一変数と位置づけて、日銀の政策金利と10年国債利回りを追うよう勧めています。

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