「日本の空き家率が高すぎるため、不動産投資は無駄である」という記事をよく目にします。そのたびに、私は真剣に記事を読み進めて、何か見落としている視点がないか確認するのですが、残念ながら毎回同じ結論に達します。それは、「単に市場を否定したいだけか、論理的思考が欠けている」ということです。
日本の空き家率が高いという事実は確かです。しかし問題は、この数字が全国平均であるという点です。わざわざ空き家率が異常に高い地域を選んで投資する人がいるでしょうか?
日本各地域の人口純移動数
下記のグラフを見ると、状況は一目瞭然です。人口流入が著しいのは数個の大都市だけで、人口流出しているのは地方部です。地方の空き家率が高いのは当然です。さらに、日本では不動産の維持費と固定資産税が高いため、田舎では庭付きの大型戸建てが80万円どころかそれ以下で売却されることもあります。なぜなら、貸し出しもできず、住む予定もない場合、納税するより物件を手放す方が経済的だからです。
表1 2021年、2022年日本各地域の人口純移動数
出典:日本総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2022年」
ここでは個人投資家を想定しており、通常は物件を一つずつ購入します。区画全体を買収して開発するようなケースは対象外です。一物件のみを購入する場合、なぜあえて空き家率、空置率、流動性が悪い地域に投資する必要があるのでしょうか?基本的な投資知識があれば、物件選定の基準は自ずと明確になるはずです。
地方から大都市への人口移動と雇用機会
先日、日本の経済誌『President Online』のポッドキャストで興味深い統計を聞きました。日本の地方自治体のうち、6割以上で年間中央値が300万円以下という内容でした。このエピソードは少子化問題を扱っていましたが、統計から分かるのは、年収300万円以下の層は結婚できず、結婚しないのではなく結婚できないという現実です。大きな問題は、地方に良好な雇用機会がなく、給与水準が低く、キャリア発展性に乏しいという点です。新たな機会を求めて、人々は大都市へ流動していくのです。
特に都市へ流動する人口の中でも、20~30代が最大多数派です。これは毎年3~4月に都市部への転入が最多であるという月別統計とも一致しており、これは新卒者の就職時期に対応しています。
借家人の属性と賃料設定の関係性
こうした「借家人の属性」という重要な情報を踏まえると、どのような物件を賃貸用として購入すべきかは自ずと明らかになります。新卒社員は高級アパートに住めるでしょうか?3LDKが必要でしょうか?特殊なニーズは存在しますが、大数の法則に従えば、必ずシングル向けで、月収20~30万円(20~30代の給与水準はおおむねこの範囲)の層が負担できる物件を選ぶべきです。
直接お答えすると、月額6万円前後の賃料設定が最も賃貸しやすいのです。(ここまでお読みいただきありがとうございました。この秘訣をお教えしました!)
人口流動の極度な不均衡と大都市の吸引力
前述のグラフからも明らかなように、大都市は単に人口が流入しているだけではなく、地方の人口をほぼすべて「吸い上げている」状態です。このグラフを見れば、平均値だけを見ている限定的な視点がいかに危険かが容易に理解できます。興味をお持ちの方には、日本総務省統計局が公開している人口移動関連統計図表をすべて閲覧することをお勧めします。これらを見ることで、日本の人口流動の現状がより深く理解でき、日本不動産投資における意思決定がより的確になるはずです。
最後に、東京都23区の公示地価の推移をご覧ください。現在も上昇傾向が続いており、不動産に需要がないという状況は全く見られません。
表2 東京都23区公示地価推移
出典:イエゼミ 東京23区不動産 資産価値ランキング
