日本の不動産は本当に外国人に買い占められた? 70万件の実際の登記データが出した答え

2026年5月21日|投資の基礎知識|東京ママ|温 芳瑜(宅建士試験合格)
日本の不動産は本当に外国人に買い占められた? 70万件の実際の登記データが出した答え
🏢 株式会社 J&E | 📜 宅建士・税理士・司法書士提携 | 🇹🇼 台湾人が運営 | 📍 東京都

「日本の不動産、また外国人に買い占められたらしいよ。」この手のセリフが、今年に入ってから台湾のLINEグループで数週間おきに流れてきます。ですが日本の不動産情報会社TRUSTARTが公開したばかりの「不動産ビッグデータ分析レポート 第17回」は、もっと精密な実像を示してくれました。5年半、約70.6万件の区分所有権登記データのうち、海外住所の所有者比率が最も高い5地域でも、2%から2.5%の間にとどまっているのです。

サンプル範囲:5年半、70万件の登記

このレポートが分析しているのは、TRUSTARTが自社で保有する区分建物登記データです。期間は2020年11月から2026年4月まで、サンプル数は706,337件。数字を見る前に、まず2つのことをはっきりさせておきます。

  1. これはTRUSTARTが自社で保有する登記データであり、政府データではありません。2. 「海外住所の所有者」は登記上の住所を見ているだけなので、理論上は「海外在住の日本人」も含まれます。外国籍の買い手とイコールで結びつけることはできません。比率の上限2.5%もあくまで「海外住所」の上限であり、実際の外国籍買い手の比率はもっと低いはずです。

海外住所比率が最も高い5地域

地域

海外住所所有者比率

福岡県

2.5%

大阪府

2.4%

東京都

2.3%

京都府

2.0%

北海道

2.0%

ここで2つの現象が同時に起きています。

1つ目は、海外資金が中心都市に集中していること。東京、大阪、福岡、京都、札幌といった都市圏の中心部です。

2つ目は、これらの都市の「都市圏外側の県」ではほぼすべて0.5%以下に落ちること。神奈川、埼玉、千葉、兵庫、奈良などが含まれます。海外の買い手は郊外やベッドタウンにはあまり手を伸ばさないということです。

つまり「日本が外国人に買い占められている」という言い方は、あまりに大雑把すぎます。もっと正確に言うなら、海外資金は少数の中心都市にある中心物件に集中していて、全体の比率は依然として一桁台の低い水準にとどまっている、ということです。

京都の海外買い手は半数が台湾人

レポートではさらに、各県の海外住所所有者の「国・地域別構成」も比較しています。結果は地域によって大きく異なりました。

  • 北海道、京都府:台湾住所の所有者比率が最大。
  • 埼玉、福岡:中国住所の所有者が約57%。
  • 神奈川、千葉、兵庫:アメリカ住所の所有者比率が高い。

この京都の発見は、台湾の読者にとって他人事ではありません。世間では京都の海外買いを中国資金と結びつけて語られがちですが、TRUSTARTの登記データを見ると、京都府で最大の海外グループは実は台湾なのです。北海道も似た状況です。もしあなたが最近京都で物件を見ているなら、価格を競り合っている相手はかなりの確率でもう一人の台湾人買い手であって、想像しているような海外資本のプレッシャーではないということです。

法人所有は海外住所よりも一般的

このレポートで本当に注目すべきなのは、海外国籍の比率ではなく「法人所有」です。法人所有の分布は海外住所よりもずっと広く、全国どこにでも見られますが、都心エリアでは比率がはっきりと上がります。東京23区のうち、法人所有比率の上位5区は以下の通りです。

東京23区

法人所有比率

千代田区

21.7%

港区

19.7%

中央区

15.7%

渋谷区

15.4%

台東区

14.1%

法人所有の物件は、必ずしも企業が自ら使うためのものとは限りません。むしろ多いのは資産管理、投資保有、節税目的での保有です。京都府、兵庫県、福岡県も法人所有比率の上位に入っており、個人所有が中心の県の多くを上回っています。

階数が高いほど、法人比率も高い

TRUSTARTはさらに、東京都内の21階以上の高層住宅を抜き出して分析しています。階数が高くなるほど法人所有比率が上がり、48階以上では法人比率が約30%に達します。レポートはこれについて、投資や資産管理目的での取得行動と関係があると推測しています。

これは神戸市が以前タワーマンションを対象に行った調査結果と同じことを指しています。20階以上の物件では、法人所有や「所有者本人が住民票を置いていない」比率がはっきりと上がり、登記されている名義人が実際にそこに住んでいるとは限らないのです。

台湾の読者にとって実際に意味のある3つのこと

1つ目、2%から2.5%は「比率」であって、シェアではありません。「街中で中国人が物件を買い漁っている」という話ともイコールではないのです。海外資金は都心に集中していますが、比率が最も高い福岡県でさえ、100戸の区分所有権のうち海外住所は2.5戸だけです。世間の体感と実際の登記データはかみ合っていません。

2つ目、京都と北海道は台湾資金が目立って根を下ろしている2つの地域です。京都で物件を検討している台湾人買い手にとって、これは価格を競う相手がかなりの確率でもう一人の台湾人買い手であることを意味します。まずこの競争構造を理解してから、買付価格の戦略を考えるべきです。関連記事として東京vs大阪vs京都vs北海道、どう選ぶ?も参考にしてください。

3つ目、流動性に本当に影響するシグナルは法人所有比率であって、国籍ではありません。都心の高層階は約3分の1が法人所有で、これはその階の保有期間、賃貸への意欲、修繕合意を取り付けるスピードが、一般の自己居住世帯とは違うことを意味します。遠隔で買付けを入れる際は、「外国人が多いかどうか」を気にするよりも、その物件の管理組合内の法人比率を事前にチェックしておくほうがずっと実用的です。タワーマンションについては、以前タワーマンション投資は割に合うのかで、節税メリットが消えた後の所有構造の変化を詳しく取り上げました。

参考資料出典:TRUSTART 不動産ビッグデータ分析レポート 第17回

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