台湾が兄弟姉妹の特留分を削除、日本では戦後からずっと兄弟姉妹に遺留分がなかった:遺言がなければ、きょうだいは今も相続できる

2026年7月29日|税務・ビザ|東京ママ|温 芳瑜(宅建士試験合格)
台湾が兄弟姉妹の特留分を削除、日本では戦後からずっと兄弟姉妹に遺留分がなかった:遺言がなければ、きょうだいは今も相続できる
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台湾の立法院は7月28日、民法第1223条の改正案を三読会で可決し、兄弟姉妹の特留分を削除しました。新制度は総統による公布から6カ月後に施行される予定で、今後は遺言によって財産を兄弟姉妹に残すかどうかを自分で決められるようになり、法律で一定割合の遺産をきょうだいのために残しておく必要がなくなります。

ただし、今回の改正で削除されたのは「特留分」だけで、兄弟姉妹の法定相続権はそのまま残ります。

亡くなった方が有効な遺言を残していなかった場合、子や親など先順位の相続人がいなければ、兄弟姉妹は引き続き法律により相続することができます。兄弟姉妹が特留分の侵害を理由に、法律で本来保障されていた最低限の取り分を求められなくなるのは、亡くなった方が遺言を残し、財産を配偶者や同居パートナー、友人、公益団体などに譲ると定めていた場合に限られます。

法務部も、兄弟姉妹の「法定相続分」自体は削除されておらず、今回の改正はあくまで遺言の自由に対する制限を緩和するものだと強調しています。

特留分とは?遺言に「一円も渡さない」と書いても、必ずしもその通りにはならない

「法定相続分」とは、亡くなった方が遺言を残していない場合に、法律が各順位の相続人のために定める分配比率のことです。一方「特留分」とは、亡くなった方がすでに遺言を残していたとしても、法律が一部の相続人のために強制的に留保する最低限の取り分を指します。

例えば、未婚で子供がおらず、両親もすでに他界している人が、1,200万台湾ドルの遺産を残したとします。改正前の制度では、遺言に「全額を公益団体に寄付する」と明記されていても、兄弟姉妹は法定相続分の3分の1にあたる特留分、つまり400万台湾ドルをまとめて主張することができました。

新法施行後は、遺言さえ有効であれば1,200万台湾ドルを全額寄付でき、兄弟姉妹は特留分を主張して受遺者の取得財産の減額を求めることができなくなります。

亡くなった方に配偶者がいて、子供はおらず、両親もすでに他界している場合、台湾の現行法では配偶者が2分の1、兄弟姉妹が合わせて2分の1を取得します。

1,200万台湾ドルの遺産で計算すると、兄弟姉妹の法定相続分は合計600万台湾ドルになります。改正前は、その特留分は法定相続分の3分の1、つまり200万台湾ドルでした。新法施行後は、亡くなった方が遺言によって遺産の全額を配偶者に残すことができ、兄弟姉妹はこの200万台湾ドルを強制的に取り戻すことができなくなります。

ただし、亡くなった方が遺言を残していなければ法定の分配方法は変わらず、配偶者が600万台湾ドル、兄弟姉妹が合わせて残りの600万台湾ドルを取得します。

日本は1947年の民法改正時から、兄弟姉妹に遺留分を認めていなかった

日本では1947年に戦後の民法改正が完了し、1948年1月1日から施行されました。このとき創設された遺留分制度は、当初から「兄弟姉妹以外の相続人」だけを保障するものであり、兄弟姉妹は現行制度の下で遺留分を持ったことが一度もありません。

日本は1980年に相続制度を再び改正し、1981年に施行しました。これにより配偶者の法定相続分がさらに引き上げられると同時に、兄弟姉妹の代襲相続の範囲が制限されました。

ただし、兄弟姉妹の法定相続権はそのまま残されました。亡くなった方に子供や親がおらず、遺言も残していなければ、兄弟姉妹は今も法定相続人です。

台湾と日本の制度の大きな違いの一つは、配偶者と兄弟姉妹が共同で相続する場合の取り分にあります。

台湾では配偶者が2分の1、兄弟姉妹が合わせて2分の1を取得しますが、日本は配偶者の保障をより重視しており、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が合わせて4分の1を取得します。

日本で、結婚しているが子供はおらず、両親もすでに他界している人が、1,200万台湾ドルに相当する遺産を残し、遺言がなかったとします。この場合、配偶者は900万台湾ドル、兄弟姉妹は合わせて300万台湾ドルを取得します。

しかし、亡くなった方が有効な遺言を残し、1,200万台湾ドルの全額を配偶者に取得させると指定していた場合、兄弟姉妹には遺留分がないため、本来なら法定相続で得られたはずの300万台湾ドルを取り戻すよう求めることはできません。

日本の法務局が作成した遺言に関する広報資料でも、兄弟姉妹には遺留分がないため、あらかじめ有効な遺言さえ残しておけば、原則として兄弟姉妹から遺留分侵害額請求を受ける問題は生じないと明記されています。

日本はなぜ配偶者の保障を強化したのか?家族構成の変化が背景に

日本における1980年の改正は、戦後の相続制度を全面的に見直す改革であり、配偶者の法定相続分の引き上げ、兄弟姉妹の代襲相続の範囲の制限に加えて、「寄与分」制度も新たに設けられました。これにより、遺産の形成や維持、あるいは亡くなった方の介護に特別な貢献をした相続人が、より多くの財産を取得できるようになりました。

当時、日本の国会で審議された重要な背景には、家族の形が伝統的な「家」から、夫婦と子供を中心とする核家族へと徐々に移り変わっていたことがあります。

国会での審議意見では、都市社会において成人した兄弟姉妹が亡くなった方と同居していたり、その財産の形成・維持に協力していたりするケースは少なくなっていると指摘されました。特に主な遺産が夫婦で協力して購入した住宅である場合、亡くなった方の兄弟姉妹が法律にもとづいて分割を求めると、その家に住み続けている配偶者との間で衝突が生じやすくなります。

遺留分制度の目的は、亡くなった方と生活面・経済面で密接な関係にある配偶者、子供、直系尊属を保障し、亡くなった方が遺言によって全財産を他人に譲り渡すことで、それまで亡くなった方に生活を頼っていた近親者が最低限の保障すら失ってしまう事態を防ぐことにあります。

日本の法務省も現在、遺留分について、兄弟姉妹以外の相続人のための最低限の遺産の取り分と位置づけて説明しています。

これに対して兄弟姉妹は、通常すでに成人しており、自分自身の家庭や収入を持っている場合も多く、亡くなった方の財産形成に関わっているとは限らず、亡くなった方の扶養に頼っているとも限りません。そのため、配偶者や子供と同じような強制的な保障を持つ必要はないと考えられています。

ただし、日本は1980年の改正時に、兄弟姉妹の法定相続権そのものまでは廃止しませんでした。

当時の国会審議では、地域によっては先祖代々の財産や家族共有の財産、兄弟姉妹が互いに扶養し合っている実情がなお存在すると考えられていました。兄弟姉妹の相続資格を完全に排除してしまうと、さまざまな家庭の事情に対応しきれない可能性があったのです。

そのため日本は最終的に折衷案を採用しました。兄弟姉妹の法定相続権は残しつつ、配偶者と兄弟姉妹が共同で相続する場合の兄弟姉妹の取り分を3分の1から4分の1に引き下げ、代襲相続も亡くなった方の甥や姪までに限定し、それより遠い世代へは及ばないようにしたのです。

台湾の改正理由は、日本の場合と非常によく似ている

台湾が今回、兄弟姉妹の特留分を削除した理由は、かつて日本が相続制度を見直した際の考え方と非常によく似ています。

法務部は、現代の家庭生活のあり方はすでに変化しており、成人した兄弟姉妹同士の生活面・経済面での関係は、以前ほど密接ではなくなっていると指摘しています。特留分によって亡くなった方の財産の処分を強制的に制限し続けることは、独身者や非婚、子供のいない世帯、多様な家族のニーズに応えにくくなっており、遺言の自由をある程度拡大する必要があるとしています。

独身者や子供のいない夫婦にとって、今回の改正の影響は特に大きいといえます。

これまでは、長年そばで支え、世話をしてくれたのが同居パートナーや友人、あるいは血縁関係のない家族であったとしても、兄弟姉妹が特留分を主張することで、本人が望んだとおりに財産を分配しきれないことがありました。

新法施行後は、台湾と日本の制度はより近いものになります。兄弟姉妹は引き続き法定相続人ではあるものの、遺言に対抗できる最低限の取り分の保障は失われます。

遺言がない場合、兄弟姉妹は引き続き法律にもとづいて相続できますが、有効な遺言がある場合は、亡くなった方が生前に決めた財産の配分が優先されます。

ただし、法務部がもともと計画していた関連措置、具体的には「遺産酌給」制度の拡大や「相続人特別貢献」制度の新設については、現在も行政院で審査中であり、兄弟姉妹の特留分削除とあわせて立法が完了するには至っていません。

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