日本不動産市場で、台湾バイヤーが中国バイヤーに勝てるケースがなぜ増えているのでしょうか?
実は私自身にも、中国バイヤーに競り勝った経験があります。日本の不動産における価格提示の方法は、台湾とは異なります。台湾では、誰かが斡旋や買付申込書を入れると、他の方はそれ以上価格提示ができません。しかし日本では、複数の買主が同時に価格提示を行うことができ、売主には必ずしも最高価格の申込者と成約する義務はありません。売主の意向によって成約相手を選ぶことができ、手付金の段階に至るまでは、売主が売却を断っても斡旋金の弁償が生じることもありません。
つまり、先着順でも最高価格でもないのです。私の場合、私が価格を提示したのと同時に、ある中国バイヤーが私よりも高い価格を提示していました。ところが、最終的に購入できたのは私でした。理由はシンプルで、その日本人売主が台湾人に売りたいと思っていたからです。
従来、中国バイヤーは「素早く、積極的に、的確に」というイメージで知られていました。しかし2024年以降、私が経験したようなケースはより顕著になっています。主な理由は、中国から海外への資金移動の複雑さと不確実性が著しく高まっているためです。
私の観察によると、台湾バイヤーが有利とされる理由は、主に以下の3つの側面にあります。
一、資金送金の「確実性」と「スピード」
中国バイヤーは厳格な越境資本規制の制約を受けており、どれほど資産があっても、まとまった資金を合法的かつ迅速に日本へ送金するには、複数のルートを経由したり順番待ちが必要になることが多く、取引の「不確実性」が大幅に高まります。
一方、台湾バイヤーは資金の流動性が比較的自由であり、多くの高資産のお客様はシンガポール・香港・米国などの海外にすでに資金を保有しています。特に住み替えや換金を急いでいる日本人売主にとって、実際に確認・受け取りができる資金は、書面上の高い提示価格よりもはるかに魅力的です。
二、融資の柔軟性
台湾の大手銀行(台湾銀行・兆豊銀行・彰化銀行など)は東京に支店を構えており、台湾国内の資産を担保としての評価も高く、多くのバイヤーが「台湾でローンを組んで日本で購入」したり、事前に迅速な仮審査を受けることができます。
これに対し、中国バイヤーについては、近年日本の国内銀行における非居住者向けの口座開設・融資審査(マネーロンダリング防止・KYC)が非常に厳格化しており、短期間で資金の出所を証明したり口座開設が完了できなければ、取引が直接停滞してしまいます。
三、意思決定ロジックの変化
ここ2年で、中国の富裕層バイヤーは以前と比べて明らかに慎重かつ選り好みをするようになっています。国内の経済的要因の影響を受け、決断する前に大量の横断比較(例:この資金をドバイやシンガポールに投資した方が良いのではないか?)を行うようになり、結果として最後の段階で躊躇したり、大幅な値引き交渉を試みるケースが頻発しています。
港区を例に挙げると、台湾バイヤーの多くは「実需型の資産配置」です。港区のエリア価値についての認識が非常に成熟しており、留学経験者や東京に頻繁に出張する方が多く、「予算・広さ・立地」という3つの条件を事前に設定した上で、条件に合う物件があれば迷わず購入を決断します。
売主側のリアルな本音
港区3億円以上の市場では、売主も企業オーナーや著名な医師など、社会的地位の高い方が多い傾向にあります。彼らにとって、「手間を省くこと > 500万円多く得ること」です。「契約後に資金が送金できない」や「融資が通らない」といった理由による契約解除が何より嫌われます。時間的・精神的なコストは計り知れません。
また、日本人売主の間で台湾バイヤーは「契約意識が高く、控えめで、納税管理人の設定にも積極的」という好印象が広く定着しています。こうした「コミュニケーションのしやすさと高い確実性」という特質により、売主は1〜2%程度の価格譲歩を行ってでも、迅速な決済と事後トラブルのない取引を望むようになっています。
中国バイヤーは内覧や価格提示の段階では確かに素早いですが、実際の送金と税務対応の段階では、台湾バイヤーの方が明らかに完遂率・スムーズさで上回っています。売主市場である港区において、実際に確実な資金を用意できる方こそが、本当に物件を手に入れられる買主なのです。
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